この記事では、ストレスチェックの目的から実施プロセス、結果の活用法まで、担当者が知るべき全体像を解説します。「ストレスチェックが義務なのはわかるが、具体的に何から準備すれば…」とお悩みではありませんか。
本記事では、実施の3段階や高ストレス者への対応手順、集団分析を健康経営に活かす方法まで、産業保健の専門家の視点からわかりやすくお伝えします。自社に最適な運用体制を検討するために、まずはストレスチェック実施支援に関する詳しい資料で情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。
- ストレスチェックの目的と、「準備」「実施と通知」「事後措置」という実施プロセスの全体像
- 自社実施と外部委託、それぞれの向き不向きの整理
- 高ストレス者が出たときに担当者が進める対応手順
- 集団分析の結果を職場改善や健康経営優良法人の認定申請に活かす方法
ストレスチェックとは?目的と実施プロセスの3つの段階

ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、働きやすい職場環境をつくるための制度です。この制度は、個人のストレス状態を把握するだけでなく、職場全体の課題を可視化する目的も持ちます。実施が義務化されている事業場が対象で、未実施の場合のリスクもあわせて確認しておきましょう。
>>ストレスチェックの罰則とは?未実施で企業が負う3つのリスクを解説
従業員50人未満の事業場も対象になるストレスチェックの義務化拡大については、こちらの記事で詳しく解説しています。
実施プロセスは大きく「準備」「実施と通知」「事後措置」の3つの段階に分かれており、それぞれに重要なポイントがあります。なお、検査に使う質問票にはいくつかの種類があり、その違いは以下の記事で解説しています。
>>ストレスチェック80項目版とは?57項目との違いやメリットを解説
段階1:実施前の準備|担当者が最初に決めるべきこと
実施前の準備段階では、ストレスチェックを円滑に進めるための体制構築とルール作りが最も重要になります。担当者は関係者と協議のうえ、あらかじめ方針を明確に定めておく必要があります。準備から報告までの一連の流れは、以下の記事にまとめています。
>>ストレスチェックの導入方法|義務や手順、報告まで7ステップで解説
具体的に決めるべき項目は、下記のとおりです。
- 実施方針の表明: ストレスチェック制度を社内で実施することを正式に表明する
- 実施体制の決定: 誰が中心となって進めるか(衛生委員会など)を決める
- 実施者の選定: 医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した者から選ぶ
- 実施事務従事者の選定: 実施者の指示のもと、個人情報を取り扱う担当者を決める
- 面接指導を行う医師の決定: 高ストレス者への面接指導を担当する医師を確保する
- 社内規程の作成: 制度の目的、実施体制、個人情報の取り扱いなどを明文化する
段階2:実施と結果の通知|よくあるつまずきポイント
実施と結果通知の段階では、従業員の不安を解消し、高い受検率を確保することが課題となりがちです。従業員が安心して受検できるよう、プライバシー保護の徹底と丁寧な説明が求められます。
ストレスチェック実施時によくあるつまずきポイントを、下表に整理します。
| つまずきポイント | 具体的な内容 |
|---|---|
| 受検率が低い | ・制度の目的やメリットが従業員に伝わっていない ・結果が会社に知られ、不利益な扱いを受けるのではという不安がある |
| 説明が不十分 | ・質問票の意図がわからず、正直に回答できない ・結果の見方がわからず、セルフケアに活かせない |
| プライバシーへの懸念 | ・誰が結果を見るのかが不明確 ・オンラインでの回答にセキュリティ上の不安を感じる |
これらの課題を防ぐためには、結果は本人の同意なく会社に共有されないことや、回答によって不利益な扱いを受けないことを明確に伝える必要があります。
段階3:事後措置|高ストレス者への面接指導と職場環境改善
事後措置は、ストレスチェック制度において最も重要な段階であり、個人のケアと組織の改善という2つの側面を持ちます。高ストレスと判定された従業員への適切な対応と、集団分析の結果を職場環境の改善に活かすことが求められます。
単に検査を実施して終わらせるのではなく、この事後措置に繋げてこそ、制度の目的が達成されるといえます。
自社で実施するか外部に委託するかで迷う場合は、費用の内訳と社内にかかる手間を並べて見比べると判断しやすくなります。自社実施で見落としやすい担当者の作業時間やシステム費用、複数拠点を持つ企業が確認したい点、公的支援を含めた三つの選択肢の違いは、ストレスチェックの比較方法|自社実施と外部委託のコストと体制で整理しています。自社の人員体制と予算に照らして、どの形が現実的かを確かめてみてください。
外部への委託を選ぶ場合は、見積もりの金額だけでなく、任せられるサービスの範囲まで含めて比べることが大切です。基本料金に含まれる業務、高ストレス者への医師面接の手配、集団分析の集計単位、既存の産業医との連携など、委託先に確認したい内容は、ストレスチェックの代行|業務範囲から委託先の選び方・流れまで解説で8つの項目として整理しています。各項目には、問い合わせにそのまま使える質問も添えています。
高ストレス者が出た時の対応は?担当者が進めるべき3つの手順

ストレスチェックの結果、高ストレス者が出た場合、事業者は法令で定められた手順に沿って、迅速かつ適切に対応する義務があります。担当者は、本人のプライバシーに最大限配慮しながら、必要な措置を講じなければなりません。具体的な対応手順は、以下の記事で詳しく紹介しています。
>>ストレスチェックで高ストレス者が出たら?面接指導から就業上の措置まで
高ストレス者が出た際に進めるべき対応は、主に次の3つの手順に分けられます。
- 手順1:本人への結果通知と面接指導の申し出勧奨
- 手順2:医師による面接指導のセッティング
- 手順3:医師の意見聴取と就業上の措置の検討
それぞれのステップについて、詳しく解説します。
手順1:本人への結果通知と面接指導の申し出勧奨
まず、ストレスチェックの実施者から高ストレス者本人に対して、直接結果を通知することが最初のステップです。このとき、事業者が本人の同意なく結果を閲覧することは法律で禁じられています。通知と合わせて、医師による面接指導を受ける権利があることを伝え、申し出を勧奨します。
高ストレスという結果に動揺している従業員もいるため、安心して相談できる窓口があることを丁寧に案内することが大切です。従業員が面接指導の申し出をしない場合の人事対応については、以下の記事で解説しています。
>>従業員がストレスチェックの面談を受けないのはなぜ?人事の対応と法的リスクを解説
手順2:医師による面接指導のセッティング
本人から面接指導を受けたいという申し出があった場合、企業は速やかに医師による面接指導の機会を設けなければなりません。この面接指導は、申し出があってからおおむね1カ月以内に行うことが望ましいとされています。
自社の産業医が対応するほか、産業医がいない場合は外部の医療機関やサービスに依頼して、面接を担当する医師を手配する必要があります。外部に依頼する場合の費用の考え方は、以下の記事で解説しています。
>>ストレスチェックの面接指導費用|相場がない理由と見積もり5つの確認点
手順3:医師の意見聴取と就業上の措置の検討
面接指導を実施した後は、企業は担当した医師から、従業員の健康を確保するために必要な措置について意見を聴取します。この意見聴取も、面接指導後おおむね1カ月以内に行うことが望ましいです。
医師の専門的な意見を参考に、時間外労働の制限、業務内容の変更、配置転換、あるいは療養のための休暇取得など、具体的な就業上の措置を検討し、実行します。休職や復職に関わる対応については、以下の記事を参照してください。
>>ストレスチェック、休職者は対象?法的義務と復職支援のポイント
高ストレス者への対応や法令遵守に関する実務に不安を感じる担当者の方も少なくないでしょう。メンタルヘルス対応は専門的な知見が求められるため、自社だけで抱え込まず、外部の専門家のサポートを活用することも有効な選択肢です。対応の遅れが精神疾患の労災認定につながることもあるため、早めの体制づくりが重要です。
>>精神疾患の労災認定基準を解説!人事の対応から再発防止策まで

【独自】ストレスチェックを「投資」へ変える結果の活用術

ストレスチェックは、法令で定められた義務を果たすための「コスト」と捉えられがちです。しかし、その結果を正しく分析・活用することで、組織の課題を可視化し、従業員のエンゲージメントや生産性の向上に繋がる「戦略的投資」へと転換できます。ここでは、その具体的な活用術を紹介します。
集団分析から「組織の健康課題」を正しく読み解く方法
集団分析の結果を正しく読み解くには、全体の平均値を見るだけでなく、部署や職種、年代、性別といった属性ごとに結果を比較し、ストレス状態が高い集団の傾向を把握することが重要です。例えば、「A部署では『仕事の量的負担』のスコアが悪い」「若手社員層で『上司の支援』のスコアが低い」といった具体的な課題を特定します。
これにより、画一的な対策ではなく、組織の課題に即した的確な改善策を立案できるようになります。集団分析の読み解き方と職場改善への落とし込みは、以下の記事で詳しく紹介しています。
>>ストレスチェックの集団分析を徹底解説|結果を職場改善に活かす方法
分析結果を健康経営優良法人の認定申請に活かすには
ストレスチェックの集団分析結果と、それに基づく職場環境改善の取り組みは、健康経営優良法人の認定申請において極めて重要なエビデンスとして活用できます。認定審査では、自社の健康課題を客観的なデータ(ストレスチェック結果など)に基づいて把握し、その課題解決に向けた具体的な施策を計画・実行・評価しているかが問われます。
ストレスチェックを起点としたPDCAサイクルを回すこと自体が、健康経営の実践として高く評価されるのです。
ストレスチェックに関するよくある質問
ここでは、ストレスチェック制度に関して、企業の人事・労務担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 従業員50名未満の事業所におけるストレスチェックの義務化はいつから?
従業員数が常時50名未満の事業所に対するストレスチェックの実施義務化は、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法に基づき、令和10年(2028年)4月1日から施行されます。それまでは努力義務とされていますが、従業員のメンタルヘルスケアのために、早期から取り組むことが推奨されています。
50名未満の事業所での準備の進め方は、以下の記事を参考にしてください。
>>福岡の50人未満事業場|2028年ストレスチェック義務化に向けた準備と無料相談窓口
Q. 「医師による面接指導」は産業医でなくても可能ですか?
はい、法令上の定めでは「医師による面接指導」とされており、必ずしも産業医に限定されてはいません。しかし、企業の労働環境や業務内容を理解している医師が担当することが望ましいため、まずは自社の産業医に相談するのが一般的です。
産業医がいない、あるいは専門外である場合は、外部の専門機関などを通じて適切な医師を手配する必要があります。
Q. ストレスチェックの結果は労働基準監督署に報告が必要ですか?
はい、常時50名以上の従業員を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、ストレスチェックの結果を所轄の労働基準監督署長に報告する義務があります。
この報告書は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」と呼ばれ、個人の結果ではなく、検査を受けた人数や面接指導の実施人数などを記載します。報告書の具体的な書き方は、以下の記事で確認できます。
>>ストレスチェック報告書の書き方|提出義務や活用法も解説
ストレスチェックの実施から高ストレス者への対応、集団分析の活用まで、一連のプロセスには専門的な知識が求められます。法令を遵守しつつ、制度を最大限に活用するためには、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。
>>自社の状況に合った産業保健体制について相談してみる
ストレスチェックを有効な投資とするためには、まず何から始めるべきか、どのような体制が自社に合っているのかを知ることが第一歩です。運用方法や委託先の選定でお悩みの場合は、ぜひ一度、詳しいサービス資料をご覧ください。

まとめ
ストレスチェックは、法令遵守はもちろん、集団分析の結果を職場改善に活かすことで企業の生産性向上に繋がる重要な取り組みです。実施プロセス全体を理解し、高ストレス者対応や結果活用まで見据えて、自社に最適な運用体制を構築することが求められます。
法令遵守やリスク管理の体制構築に不安があれば専門家に相談し、まずは具体的な進め方を検討したい場合は、サービス資料を情報収集にご活用ください。
ストレスチェックの実施から高ストレス者への面接指導まで、社内の体制づくりに不安がある場合は、産業医の選任とあわせてストレスチェック実施代行のご相談をいただけます。自社に残る業務と任せられる業務の切り分けから整理しますので、お気軽にお問い合わせください。

