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産業医が復職を認めないとき|会社がやる5ステップと本人への伝え方

産業医が復職を認めないとき|会社がやる5ステップと本人への伝え方

休職中の従業員が復職を希望したのに、産業医から「復職は認められない(復職不可)」という意見が出ました。会社は何を決めて、誰に、どう伝えればよいのでしょうか。

産業医が非常勤や外部委託の会社では、意見の詳しい理由を聞く機会が少なく、人事・総務の担当者が判断を抱え込みがちです。この記事では、国の手引きと法令の原文で確認できた範囲を前提に、産業医が復職不可と意見した後の会社の実務を整理します。復職の可否を判断する基準そのものは扱いません。

個別の事案は、社労士や弁護士に相談してください。

✓ この記事でわかること

・産業医の意見の位置づけと、最終判断は誰が行うのか
・意見が出た後に会社がやること5ステップ
・本人・主治医と認識がずれているときの対応
・本人への伝え方、休職の延長・再面談、記録の残し方

目次

産業医が「復職不可」と意見したとき、最終判断は誰が行うのか

産業医が「復職不可」と意見したとき、最終判断は誰が行うのか

国の手引きでは、産業医は意見を述べ、復職の最終的な決定は事業者(会社)が行う流れになっています。ただし、その決定には適正な手続きが求められます。

ここでは、手引きが示す産業医と会社の役割分担、産業医の意見が「勧告」として出された場合の扱い、産業医の意見に従うかどうかを一律には言い切れない理由を順に整理します。

産業医は意見を述べ、決定は会社が行うのが国の手引きの流れ

厚生労働省と労働者健康安全機構の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下、手引き)は、国が示した進め方の手引きで、法律の条文ではありません。会社は手引きを参考に、自社の復職支援の手順を決めます。

手引きで、産業医の意見が出る場面は次のとおりです。

  • 主治医の診断は、日常生活での回復程度で判断していることが多く、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとは限りません。そのため産業医等が精査し、意見を述べることが重要とされています。
  • 復職の可否は、主治医の判断と、これに対する産業医等の医学的な考え方も考慮して判断します。職場環境に関する事項は、管理監督者(職場の上司)の意見も十分に考慮し、総合的に行うとされています。
  • 産業医等は、就業に関する最終的な措置等をまとめ、「職場復帰に関する意見書」を作ります。手引きの様式例には、復職の可否を「可」「条件付き可」「不可」から選ぶ欄があります。
  • 意見書の内容を管理監督者と人事労務管理スタッフが確認し、事業者が最終的な復職の決定を行い、本人に通知します。

つまり「不可」は産業医の意見であり、それを受けて決定し、本人に通知するのは会社の役割です。手引きは、復職の可否の決定が労働者にとってきわめて重要であり、契約法上の制約も受けるため、社内手続きに従って適正に行うべきだとしています。

産業医が休職中から復職まで関わる場面は、ストレスチェック、休職者は対象?法的義務と復職支援のポイントでも解説しています。

産業医の意見が「勧告」の形で出された場合の扱い

産業医の意見が、法令上の「勧告」として出される場合があります。勧告の扱いは次のとおりです(労働安全衛生法第13条第1項により選任された産業医の勧告についての定めです)。

  • 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるとき、事業者に勧告できます。事業者は、その勧告を尊重しなければなりません(労働安全衛生法第13条第5項)。
  • 事業者は、勧告を受けたら、勧告の内容と、勧告を踏まえて講じた措置(講じない場合はその旨と理由)を記録し、3年間保存します(労働安全衛生規則第14条の3)。
  • 事業者は、勧告の内容などを衛生委員会または安全衛生委員会に報告します(労働安全衛生法第13条第6項)。

復職不可の意見が、この勧告にあたるかどうかは、今回確認した資料では判断できませんでした。勧告として出したのかどうかは、産業医に直接確認してください。勧告の詳しい扱いは、以下の記事で解説しています。
>>産業医の勧告とは?無視するリスクと企業が取るべき対応を解説

「従えば安心」「従わないと違法」とは言い切れない理由

今回確認した法令と手引きの範囲では、復職の可否について「産業医の意見に必ず従う」ことを定めた条文は見つかりませんでした。一方で、次の点は押さえておく必要があります。

  • 労働契約法第5条は、使用者が、労働者の生命や身体等の安全を確保しつつ働けるよう、必要な配慮をするものと定めています。手引きは、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力について、産業医等が精査したうえで意見を述べることが重要としています。
  • 手引きは、復職の可否の決定が契約法上の制約を受けるとしています。休職の延長や期間満了時の扱いも、就業規則や契約の内容に沿って検討する必要があります。
  • 意見に従わなかった場合の結果などは、事案ごとに異なります。原文で確認できない個別の判断は、社労士や弁護士に相談してください。
⚠️ 「産業医が不可なら、必ず復職させなくてよい」とは言い切れません

復職の可否は、産業医の意見だけで自動的に決まるものではありません。産業医の意見、主治医の意見、職場の状況を総合して、会社が社内手続きに従って決定します。原文で確認できない個別の判断は、社労士や弁護士に相談してください。

産業医から「復職不可」の意見が出た後に会社がやること5ステップ

意見が出たら、次の5ステップで進めます。順番に確認すれば、抜け漏れを防げます。

具体的には、意見書を書面で受け取って産業医に内容を確認し、本人の同意を得て主治医に意見を求め、就業規則で休職の期間や復職の手続きを確認します。そのうえで本人への伝え方と面談の日程を決め、最後に経緯を記録して関係者へは必要な範囲で共有します。

ステップ1:意見書を受け取り、内容と今後の見通しを産業医に確認する

まず、口頭だけでなく書面で意見書を受け取ります。手引きも、産業医等が「職場復帰に関する意見書」等を作り、関係者が内容を確認しながら手続きを進めることが望ましいとしています。意見書そのものは、以下の記事で解説しています。
>>産業医の意見書とは?効力や診断書との違い、対応フローまで解説

会社が産業医に確認するのは、会社が動くために必要な次の点です。

  • 意見書の内容が、復職の可否のうち「可」「条件付き可」「不可」のどれか
  • いつごろ、どのような形で再度判断するのか(産業医が示せる範囲で)
  • 会社が用意できる情報や、職場で配慮できることのうち、産業医が知りたいこと
  • 本人に伝えるときの説明の範囲(病名や検査結果をどこまで話すか)
  • 勧告として出した意見かどうか

手引きは、主治医との連携や医療的な判断では、産業医等が専門的な立場から中心的な役割を担うとしています。医学的な判断の中身は、会社が独自に評価するのではなく、産業医に確認します。

なお、産業医が意見を出すには、職場の情報が欠かせません。手引きは、産業医に情報が提供されないために必要な職務が行われなくなることがないよう、留意するとしています。復帰予定の業務内容、部署、受け入れの準備状況を整理して渡しておきましょう。

ステップ2:本人の同意を得て、主治医に会社の情報を伝え意見を求める

次に、主治医への情報提供を検討します。手引きでは、産業医等が本人の同意を得たうえで、「情報提供依頼書」等で主治医から情報や意見を集めます。進め方は次のとおりです。

  1. 本人に、主治医へ情報を提供し、意見を求める目的を説明して同意を得る。
  2. 会社の規則、職場で求められる業務の状況、就業上の配慮の可否などをまとめる。
  3. 産業医が、情報提供依頼書などで主治医に送る。

同意は、包括的なものや暗黙のものではなく、個別に明示的に得ることが望ましいとされています。本人の同意がないまま、主治医と情報をやりとりしないでください。主治医と産業医の意見が食い違ったときの調整は、以下の記事で解説しています。
>>産業医の復職面談ガイド|再休職を防ぐ人事の対応と判断基準

ステップ3:就業規則で休職の期間・満了日・復職の手続きを確認する

意見への対応と並行して、就業規則を確認します。休職の期間や、満了したときの扱いは会社ごとに異なるためです。確認する項目は次のとおりです。

  • 休職期間の上限と、延長の定めの有無
  • 休職期間が満了したときの扱い
  • 復職の手続き(申請の方法、診断書、産業医との面談などの定め)
  • 復職の可否を、誰がどの手続きで決めるか

手引きは、休業の最長期間や、期間満了後に雇用契約を解除する場合の扱いについて、労使の十分な協議で決め、あらかじめ就業規則等に定めて周知しておくことが望ましいとしています。満了が近い場合の入口は、休職期間満了で自然退職にする前に|就業規則の定めと満了前の進め方で解説しています。

ステップ4:本人への伝え方と面談の日程を決める

決定を本人に通知するのは会社の役割です。誰が、いつ、どこで、何を伝えるかを、面談の前に決めておきます。同席者は、必要な人に絞ります。日程は、本人の体調に配慮して調整します。伝えることと避けることは、次の章で整理します。

ステップ5:経緯を記録し、関係者へは必要な範囲で共有する

最後に、意見書の受領から面談までの経緯を、時系列で記録します。後から会社の判断の経緯を説明するためです。項目は「後から説明できるように|記録の残し方」の章で整理します。

関係者への共有は、業務上必要な範囲にとどめます。病名などの疾患名は、誤解や偏見を招きやすいため、特に慎重に扱います。

本人・主治医と認識がずれているときの対応

復職をめぐって、本人や主治医と、産業医の見方がずれることがあります。よくある場面ごとに、会社の動き方を整理します。

取り上げるのは、主治医が「復職可」で産業医が「不可」のとき、本人が産業医の意見に納得しないとき、本人にセカンド・オピニオンを勧めるときの3つです。それぞれの場面で、会社が取れる動きと注意点を確認します。

主治医が「復職可」、産業医が「不可」のときの会社の動き方

主治医の診断書が「復職可」でも、産業医が「不可」と意見することがあります。手引きによれば、主治医の診断は日常生活での回復程度で判断していることが多く、家族や本人の希望が含まれる場合もあります。そのため、職場で求められる業務遂行能力と照らして、産業医等が精査するとされています。

会社が取れる動きは次のとおりです。

  • 片方の意見だけで決めず、両方の意見を総合して判断する
  • 主治医に、職場で必要な業務遂行能力や勤務制度の情報を、本人の同意を得たうえで渡す
  • そのうえで、就業が可能な回復レベルでの意見を、主治医に求める

手引きは、あらかじめ主治医に職場の情報を提供したうえで、就業が可能であるという回復レベルで意見書を書いてもらうことが望ましいとしています。

本人が産業医の意見に納得しないときの初期対応

本人が「働けるのになぜ認められないのか」と納得しないことがあります。初期対応は次のとおりです。

  • 決定を伝える前に、本人の復職への意思や、就業への考えを聞く
  • 産業医の意見をふまえて会社が決定することを、順を追って説明する
  • 意見の医学的な中身をめぐる議論は、会社では行わない
  • 医学的な疑問は、本人から産業医や主治医に確認してもらう
  • 聞き取った内容と説明した内容を、面談記録に残す

会社の担当者が、医学的な理由を独自に説明しようとしないことが大切です。

本人にセカンド・オピニオンを勧めるときの注意点

セカンド・オピニオンとは、主治医以外の医師の意見のことです。手引きでは、状況によっては会社から本人に勧めることも考えられるとしています。

ただし、これは本人の治療方針にかかわります。手引きは、最終的には本人の意思に委ね、慎重に行うことが望ましいとしています。特定の医師を指定したり、受けるよう求めたりせず、選択肢として伝えるにとどめましょう。

本人への伝え方|面談で伝えること・避けること

決定の通知は、本人にとって重い場面です。事前の準備と、伝える内容の整理が欠かせません。

ここでは、面談の前に整理しておく項目、面談で伝えることと伝え方の例、本人との信頼関係を損なわないために面談で避けることを順に解説します。

面談の前に整理しておくこと

面談の前に、次の表の項目を整理しておきます。

整理する項目 内容
面談の目的 復職の可否についての会社の決定を伝える場であること
産業医の意見 意見書の内容(本人に説明する範囲は、産業医と相談する)
会社の決定 意見をふまえた、復職の可否についての会社の決定
今後の流れ 就業規則にもとづく、休職の扱いと次の手続き
次回の予定 次回の面談の時期の見込み

面談で伝えること

面談では、感情的にならず、整理した内容を順に伝えます。

  • 療養中であることへのねぎらい
  • 産業医が、復職は認められないという意見を出したこと
  • 会社が、その意見をふまえて出した決定
  • 就業規則にもとづく、今後の休職の扱い
  • 次回面談の時期の見込みと、それまでの連絡方法
  • 本人が質問や意見を伝えられる窓口

たとえば、次のような伝え方があります。「産業医から、現時点では復職は認められないという意見が出ました。会社としてもこの意見をふまえ、今回は復職を見送ることにしました。今後の休職の扱いは就業規則に沿って説明します。次回の面談は、◯月ごろを予定しています」。決定は、書面でも残します。

面談で避けること

次の言動は、本人との信頼関係を損ない、後の対応をむずかしくします。

  • 本人の人格や意欲を否定する発言
  • 退職を促す発言(進め方は社労士や弁護士に相談してから)
  • 根拠のない見通しの約束(「次は大丈夫」など)
  • 病状や治療内容を、必要以上に詳しく聞き出すこと
  • 口頭だけで伝え、記録を残さないこと

休職の延長や再面談を検討するときのポイント

復職不可の意見が出たら、休職を続けるのか、いつ再度判断するのかを決める必要があります。

延長の扱いはまず就業規則の定めを確認し、休職を続ける場合は再面談の時期やそれまでの連絡方法を本人と共有します。休職期間の満了が近いときの確認点もあわせて紹介します。

延長の扱いは、まず就業規則の定めを確認する

不可と判断された場合の、休職の延長の回数や、再面談の間隔を定めた記述は、手引きでは確認できませんでした。延長の扱いは、まず会社の就業規則の定めを確認します。

確認する点は次のとおりです。

  • 休職期間の上限に達しているか、残りがあるか
  • 延長を認める定めがあるか、その条件は何か
  • 定めがない場合や、上限に達している場合の扱い

定めがない場合や、上限に達している場合の扱いは、個別の事情で判断が分かれます。社労士や弁護士に相談してから決めてください。

再面談の時期と、それまでに本人と共有しておくこと

休職を続けるなら、いつ再度判断するのかを本人と共有します。手引きの様式例の面談記録票にも、次回面談の予定を書く欄があります。共有する内容は次のとおりです。

  • 次回の面談の時期の見込み
  • 再判断も、主治医の診断書と産業医の意見をもとに進める流れになること(手引きの流れ)
  • それまでの連絡方法と、連絡の頻度
  • 復職に向けて、職場から求められる業務の内容

再度の判断でも、ステップ1と同じ手順で、産業医の意見書を書面で受け取ります。

休職期間の満了が近いときの入口

満了が近い場合は、満了日と、満了時の扱いを就業規則で確認します。本人には、満了日と今後の流れを書面で伝えます。詳しい進め方は、休職期間満了で自然退職にする前に|就業規則の定めと満了前の進め方で解説しています。

後から説明できるように|記録の残し方

手引きは、復職の可否についての話合いの結果を、「面談記録票」等に記録し、関係者が内容を確認しながら進めることが望ましいとしています。

ここでは、意見書や面談の内容、会社の決定など記録に残しておく項目と、記録に含まれる健康情報を扱うときの注意点を整理します。後から会社の判断の経緯を説明できるよう、残し方を確認しておきましょう。

記録に残しておく項目

記録に残す項目は次のとおりです。

  • 産業医の意見書(またはその写し)と、受け取った日
  • 主治医の診断書と、本人の同意を得て行った情報のやりとり
  • 本人との面談の日時、出席者、伝えた内容、本人の意見
  • 会社の決定と、その決定をした日
  • 確認した就業規則の条文
  • 産業医の意見が勧告だった場合は、勧告の内容と、講じた措置(講じない場合はその理由)

手引きの面談記録票の様式例には、復職の可否(可・不可と理由)と、次回面談の予定を書く欄があります。勧告の場合、内容と措置の記録は3年間の保存が必要です。

健康情報を扱うときの注意点

記録には、健康に関する情報が含まれます。手引きが示す取扱いの考え方は次のとおりです。

  • 必要な範囲の人だけが取り扱う。特に疾患名は慎重に扱う
  • 産業医など決まった部署で、一元的に管理する
  • 第三者に提供するときは、原則として本人の同意を得る
  • 同意は、個別に明示的に得ることが望ましい

記録の保管場所と、見られる人の範囲は、あらかじめ決めておきましょう。

判断に迷うときの相談先と、産業医の体制の見直し

復職の対応は、個別の事情で判断が分かれます。迷ったときの相談先と、体制の見直しの選択肢を整理します。

個別の事案を社労士・弁護士に相談する場面と、産業医との連携に課題を感じたときに検討できる産業医の体制の見直し方を紹介します。

個別の事案は社労士・弁護士に相談する

休職の延長の可否や、満了時の扱い、本人との話合いがこじれたときの対応は、事案ごとに異なります。法令や手引きの原文で確認できない判断は、社労士や弁護士に相談してください。

産業医がいない会社や、産業医の協力が得られない場合の復職判断は、うつ病の復職支援|人事担当者が知るべき手順と産業医不在時の対応で解説しています。適応障害の休職への対応は、適応障害で従業員が休職|人事担当者の対応と復職支援の進め方が参考になります。

産業医の体制を見直したいときの選択肢

今回の件で、産業医との連携に課題を感じた会社もあるでしょう。たとえば、次のような場合です。

  • 非常勤で、意見の内容を確認する機会が少ない
  • 意見書は出るが、会社が動くために必要な点を聞けない
  • 休職者の対応を、職場で相談できる医師がいない

従業員が常時50人以上の事業場には、産業医の選任義務があります。選任の要件は、産業医の選任義務とは?50名以上の罰則・費用・探し方を解説で確認できます。

産業医を外部に委託する方法もあります。産業医サービスの外部委託では、現場への訪問を前提に、原則月1回(要件によっては2か月に1回)の訪問で、職場巡視や面談などの運用まで任せられます。メンタルヘルスへの対応が必要な事業場では、精神科・心療内科の医師を含めて検討できます。

すでに産業医や保健師がいる場合は、切り替えずに連携する形や、事務作業だけを委託する形もあります。

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産業医の復職不可の意見に関するよくある質問

産業医の復職不可の意見について、意見に従わない場合の考え方、意見が「勧告」として出されたときの対応、非常勤の産業医に理由を聞けないとき、本人の上司に伝えてよいかに関する質問をまとめました。

Q. 産業医の意見に従わないと、違法になりますか?

A. 今回確認した法令と手引きの範囲では、復職の可否について産業医の意見に従うことを定めた条文は見つかりませんでした。ただし、労働契約法第5条は、使用者が必要な配慮をするものと定めています。手引きは、産業医等が主治医の判断を精査したうえで意見を述べることが重要としています。個別の事案は、社労士や弁護士に相談してください。

Q. 産業医の意見が「勧告」として出されたら、何をしますか?

A. 勧告は尊重しなければなりません。勧告の内容と、講じた措置(講じない場合はその旨と理由)を記録し、3年間保存します。衛生委員会または安全衛生委員会への報告も必要です。復職不可の意見が勧告にあたるかどうかは、産業医に確認してください。

Q. 産業医が非常勤で、意見の詳しい理由を聞けないときはどうしますか?

A. まず、産業医との契約で、面談や相談の方法がどう決まっているかを確認します。書面での質問に回答してもらう方法もあります。手引きは、産業医に情報が提供されないために必要な職務が行われなくなることがないよう留意するとしています。連携が難しい状況が続くなら、産業医の変更も選択肢です。

手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>産業医の変更手続きはどうやる?契約解除から届出まで解説

Q. 産業医の意見を、本人の上司に伝えてもよいですか?

A. 手引きは、健康情報を必要な範囲に限って扱うことを求めています。疾患名は特に慎重に扱い、第三者への提供は原則として本人の同意が必要です。復職の判断では、職場環境について上司の意見を聞くことになりますが、上司に伝える情報は、業務上必要な範囲にとどめます。復職を決めたときの就業上の配慮は、本人に通知したうえで、必要な範囲で共有します。

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まとめ

産業医が復職不可と意見しても、手引きの流れでは、最終的な決定は会社が行います。ただし、その決定は契約法上の制約を受け、社内手続きに従って適正に行う必要があります。復職の可否について、産業医の意見に従うことを定めた条文は、今回の確認範囲では見つかりませんでした。

意見が出たら、意見書を書面で受け取り、就業規則を確認し、本人に決定を伝え、経緯を記録します。休職の延長や再面談は、就業規則の定めによります。個別の事案は、社労士や弁護士に相談してください。

参考文献

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この記事を書いた人

整形外科医/産業医

整形外科専門医として急性期病院・クリニックにて保険診療に従事。
現場での診療を通じ、患者・医療者それぞれが抱える課題を認識し、医療とテクノロジーを横断した問題解決に取り組む。
総フォロワー数20万人を超える医師コミュニティ「Elite Doctors」を主宰。
全国、全診療科、あらゆる年代の医師ネットワークと知見を活かした事業共創・医療DX支援・組織開発を行っている。

著書に「クリニック経営者のためのゼロから始めるSEO集患術」等

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